テンペラ絵の具の作り方と特徴、テンペラ画の魅力についてまとめました

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    Kunie
    テンペラ画の魅力と特徴についてご紹介させていただきます。

    テンペラ画とは?

    テンペラ画と呼ばれるようになったのは

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    賢者の礼拝
    フラ・アンジェリコ
    フィリッポ・リッピ

    Fra Angelico,Filippo Lippi
    ワシントン・ナショナル・ギャラリー
    1440-1460年頃

    テンペラ(tempera)は、temperāre混ぜ合わせるという意味のラテン語を語源とする、イタリア語です。

    絵を描くときに色の粉末を展色材(ノリの役割をする)と混ぜ合わせることを意味し、どの展色材と混ぜ合わせるときにも使われた言葉でしたが、その後油と水を乳化させる役割の展色材を指す言葉となりました。

    卵、カゼイン、膠、アラビアゴム、が使われてきましたが、ルネッサンス以降は入手しやすい卵が主流となりました。

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    Kunie
    現在では、テンペラとは卵テンペラを指す言葉として使われることが一般的です。

    テンペラ絵の具について

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    聖母子と天使
    フィリッポ・リッピ
    テンペラ / パネル
    高さ: 95 cm;幅: 62 cm
    ウフィツィ美術館
    1460年頃ー1465年頃
    Fra_Filippo_Lippi_-_Madonna_and_Child_with_two_Angels

    絵具を定着させる糊

    絵具には、水彩絵具、アクリル絵具、油絵具、などがありますが
    色の粉である顔料とノリの役割をする展色材を混ぜ合わせることで、
    画面に定着することが出来ます。

    テンペラ絵の具を理解するために展色材と絵具との関係を見ていきます。

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    水彩絵具

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    顔料にアラビアガムで、水彩絵具になります。

    アクリル絵具

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    顔料にアクリル樹脂で、アクリル絵具になります。

    日本画用絵具

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    岩絵の具に膠で日本画用絵具になります。

    油絵具

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    顔料に乾性油で油絵具になります。

    テンペラ絵の具

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    そして、顔料に卵から作ったメディウムでテンペラ絵の具が出来ます。

    テンペラ画は保存性が高い

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    マニフィカトの聖母
    ボッティチェリ
    テンペラ / パネル
    ウフィッツィ美術館(フィレンツェ)
    1483-1485年頃
    https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/23/Madonna_of_the_Magnificat.png
    西洋の絵画で広く使われてきた卵テンペラには、色彩を何年間も美しく保存する力があり、経年による劣化が少なく、数百年前に制作された作品が今でも美しい輝きを保っています。

    テンペラ絵の具の成分

    卵テンペラは、水彩絵の具のように水に溶かしながら描きますが、乾燥が早く、しっかり乾燥した後は、水に溶けない性質を持ちます。卵の黄身にはレシチンやアルブミンという天然の乳化剤が含まれていますので、テンペラ絵の具は油絵具の上から、描き加えることも出来ますし、画面で混ぜ合わせながら描くこともできるのです。

    テンペラ画の種類

    テンペラ・マグラ 卵黄+酢

    マグラ(magra)は痩せている、あるいは油分の少ないことを意味します。
    卵黄のわずかな油分による、控えめな光沢で不透明な顔料そのままに近い鮮やかな表現が可能です。
    水彩絵の具のように、水に溶かして流動性を高め、細い線を重ねて描いて行くハッチングで描写します。

    テンペラ・グラッサ 卵黄+オイル

    グラッサ(grassa)は太った、脂肪分の多いを意味する言葉です。

    オイルが加わることで、絵具の伸びが良くなることで表現の幅が広がりました。
    ボッティチェリはこの方法で制作していました。

    テンペラ・ミスタ 全卵+オイル+樹脂(ダマー、マスチック等)

    ミスタ(mista) は、混合を意味します。
    全卵に同じ量のオイルと樹脂を加え、よく混ぜ合わせて作ります。
    油絵具との混合技法に適していて、テンペラでの下層書きの上に油絵具をグレーズし、
    更にテンペラで描き起こしていく、重層的で透明感のある表現を可能にします。

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    Kunie
    透明で光沢のある色彩と、形とを両立できるこの方法はとても魅力的です

    テンペラ・ミスタ
    全卵+オイル+樹脂(ダマー、マスチック等)

    テンペラ絵の具の作り方    メディウムを作る

    最初に卵テンペラメディウムを一緒に作っていきます。

    卵テンペラメディウムの材料(テンペラミスタ)

    準備するものは

    ①新鮮な卵
    ②マスチック(ダマー)
    ③リンシードオイル
    ④瓶
    ⑤防腐剤

    です。
    瓶は新しいものが望ましいのですが、古い瓶を流用する場合は良く洗い煮沸消毒し、更にアルコールで消毒しましょう。

    卵テンペラメディウムの作り方(テンペラミスタ)

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    卵を瓶に割り入れます。

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    卵の容量にしるしをつけます。

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    次に卵の半分の量のマスチック(ダマー)を加えます

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    更にマスチック(ダマー)と同量のリンシードオイルを加えます。

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    蓋をしっかり絞めて撹拌します。
    シッカリ混ぜ終わりましたら完成です。
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    最後に防腐剤を加え、冷蔵庫で保存しましょう。
    一般的には3か月程もちます。

    テンペラ絵の具の作り方 よく練り合わせる

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    先ほど作りました、卵テンペラメディウムに
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    チタニウムホワイトの顔料をプラスします。

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    このように、お皿に取りナイフでよく練り合わせます。
    絵具らしい輝きが出てきたら完成です。
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    すぐに使わない分は、このような小さな入れ物に入れて冷蔵庫に保存し3日ほどで使い切りましょう。

    テンペラ絵の具の作り方 テンペラマグラの場合

    テンペラメディウム(テンペラマグラ)材料

    ①新鮮な卵
    ②酢
    ③瓶
    ④防腐剤

    清潔な手で、卵黄をつぶさないように持ち上げカッター等の先端を使って
    卵黄の中身を取り出し、消毒済みの瓶に入れます。
    ティースプーン2杯の酢を加えて、よく混ぜると出来上がります。
    酢は腐敗を抑える効果がありますが、更に防腐剤を加え冷蔵庫に保存します。

    『テンペラ画』その魅力と特徴まとめ

    ①絵具を画面に定着させる糊の役割をするものと、顔料を混ぜ合わせることを指しました。
    ②現在はテンペラ=卵を使ったメディウムで行うものとなりました。
    ③テンペラ絵の具は保存性がとても高く、数百年前に制作された作品が、今でも美しい輝きを保っています。
    ④卵テンペラの中にも、テンペラマグラ、テンペラグラッサ、テンペラミスタと種類があります。

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    Kunie
    テンペラ絵の具を用いた制作は準備することが色々とありますが
    時間をかけて生み出される、重厚感のある作品を思うと
    一つ一つの工程の中で、いつも期待感が高まります。