イエス・キリストの誕生ー聖書と絵画ー

イエス・キリストの誕生 人口調査

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ルカ
マリアが『受胎告知』を受け身籠っている頃、ローマ帝国の人口調査をするようにと勅令がありました。ヨセフは住民登録をするために、先祖の出身地であるベツレヘムへとマリアと共に向かいます。ガリラヤからベツレヘムまで約112㎞ありました。

ルカの福音書2章1節-5節

そのころ、全世界の住民登録をせよという勅令が、皇帝アウグストゥスから出た。これは、キリニウスがシリアの総督であったときの、最初の住民登録であった。人々はみな登録のために、それぞれ自分の町に帰って行った。ヨセフも、ダビデの家に属し、その血筋であったので、ガリラヤの町ナザレから、ユダヤのベツレヘムというダビデの町へ上って行った。身重になっていた、いいなずけの妻マリアとともに登録するためであった。

イエス・キリストの誕生:人口調査 ブリューゲルの作品

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マリアとヨセフの描かれた部分の拡大

『ベツレヘムの人口調査』
ブリューゲル Pieter Bruegel
ベルギー王立美術館 1566年
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
ブリューゲルは、新約聖書のベツレヘムの人口調査を彼が生きた時代の出来事と重ねて表現しました。ある冬の日にフランドル地方の農村で、ハプスブルク家による人口調査が行われた時の様子です。スケートをする子供たちや、雪合戦をする子供たちの姿も見えます。画面中央のやや下にブルーの上着を着たロバに乗ったマリアと、ロバを引くヨセフの姿が見え、彼は鋸を背負っています。大工であることを表しているのでしょう。
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グレース
妊娠中にこの長距離の移動は大変だったでしょうね。。。

イエス・キリストの誕生 飼葉桶をベッドに

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ルカ
ベツレヘム滞在中にマリアは出産する時期を迎えましたが、宿泊する宿はありませんでした。イエス・キリストは馬小屋でお生まれになり、飼葉桶に寝かされました。当時の人々がイメージしていた、ダビデの家系(王族)から生まれる救い主とは随分異なっていたようです。

ルカの福音書2章6節-7節

ところが、彼らがそこにいる間に、マリアは月が満ちて、男子の初子を産んだ。そして、その子を布にくるんで飼葉桶に寝かせた。宿屋には彼らのいる場所がなかったからである。

イエス・キリストの誕生 コレッジョの作品

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『聖なる夜』
Correggio コレッジョ
アルテ・マイスター絵画館
1522-1530年
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
キリストは光としてこの地上に来られたと、聖書に記されています。生まれたばかりのキリストを光源として母マリアとその場に居合わせた人々を照らし出しています。

イエス・キリストの誕生 ジョルジョーネの作品

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『羊飼いの礼拝』
ジョルジョーネ Giorgione
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
1500-1510年
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
この絵に描かれているようにイエス・キリスト誕生当時の家畜小屋は洞窟でした。飼葉桶は干し草で満たされた木製の物として描かれることが多いのですが、実際には石を削って作った、深さ15.24~20.32㎝ほどの深さの水入れだったと言われています。そのような古代の飼葉桶が、沢山発見されているようです。イスラエルは雨季と乾季しかなく、雪の降る季節が無いため、草は一年中利用できたのです。それで、飼葉桶は干し草ではなく、動物の水やりに使用されていました。キリストの誕生を描いたほとんどの初期のクリスチャンアーティストはヨーロッパに住んでいましたので、木が簡単に手に入る場所で、冬は寒く干し草を保管する身近な生活をイメージして作品が描かれました。
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グレース
『生ける水の川』として聖書に記されているイエス様が、水飲み用の桶に幼児として置かれたことは、とても意味深い出来事ですね。

イエス・キリストの誕生 ピエロ・デラ・フランチェスカの作品

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Full title: The Nativity
Artist: Piero della Francesca
Date made: 1470-5
Source: http://www.nationalgalleryimages.co.uk/
Contact: picture.library@nationalgallery.co.uk
Copyright © The National Gallery, London

『イエス・キリストの誕生』
ピエロ・デラ・フランチェスカ
Piero della Francesca

ロンドン・ナショナル・ギャラリー
1460-1475年

出典: Wikimedia Commons

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ルカ
ピエロ・デラ・フランチェスカの現存する絵画の中で、最晩年に描かれた作品です。母マリアがマントの上のキリストの前で跪き礼拝し、5人の天使が彼の誕生を喜び賛美の歌を捧げています。そのうち2人の天使はリュートを演奏しています。ベツレヘムとして描かれている、画面左側の景色はトスカーナの丘陵地帯を思わせます。また画面右側の建物のある景色は、ピエロの故郷サンセポルクロの郊外を参考にした可能性があると言われています。制作技法はフランドル絵画の影響によりテンペラと油彩で仕上げられ、絵が未完成に見える部分は過剰洗浄によるものとも言われています。

イエス・キリストの誕生 ランブール兄弟の作品

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©Photo. R.M.N. / R.-G. Ojda

『イエス・キリストの誕生』
ランブール兄弟 LaNativitéfolio
コンデ(フランス)美術館1411-1416年
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
中央上部に父なる神が、額にクロスをつけ賛美を歌う青い天使と、赤い天使たちに囲まれています。天の輝きがイエスに降り注がれ、光の道を通って聖霊がイエスに向かって降り三位一体の神が表現されています。

イエス・キリストの誕生 ジェラード・デビッドの作品

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『キリスト誕生』
ジェラードデビッド David
ブタペスト美術館
1490年頃
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
救い主の降誕の知らせを天使から受けている様子が画面右上の丘の上に描かれ、イエスを礼拝しにきた羊飼いたちの姿が手前にあり時間の流れが表現されています。跪く小さな天使、マリア、ヨセフ、羊飼い、馬小屋の持ち主、馬と牛、すべての描かれている対象が救い主として降誕されたイエスに注目し、静かで美しい世界が創り上げられています。

イエス・キリストの誕生 ボッティチェリ

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『神秘の降誕』
ボッティチェリSandro Botticelli
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
1500-1501年
出典: Wikimedia Commons

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ルカ
ボッティチェリの『神秘の降誕』は、イエス、マリア、ヨセフを中心に羊飼いや博士が降誕を見守るという、繰り返し描かれてきた作品とはまた一味違った作風です。ボッティチェリは、ラテン語とギリシャ語の文字を画面の中に配置し、中世美術のように重要な人物を大きく描くことで絵の非現実性を強調しました。巨大な赤ちゃんのイエスを礼拝するマリアは、家畜小屋の中では立ち上がることが出来ないほど大きく描かれています。天使たちはオリーブの枝を運び、2つは、前景に描かれている天使と抱擁している男性に運ばれ、右側に描かれた羊飼い、左側に描かれた博士は、オリーブの冠を被っています。オリーブは旧約聖書のノアの大洪水の後に、鳩が加えて戻ってきたもので平和と希望のシンボルです。巻物は前景のオリーブの枝に巻きつき、空を舞う天使たちが持っていたものと組み合わされ、「いと高き所で、栄光が神にあるように、地の上で、平和がみこころに描かなう人々にあるように。」(ルカ2:14)と書かれています。イエスを示す天使たちが抱いた巻物は、「見よ、世の罪を取り除く神の子羊。」(ヨハネ1:29)という洗礼者ヨハネがキリストに語った言葉が記されています。屋根の上に空が開かれ、金色に光り輝く天国の様子が見え天使が踊っています。
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グレース
赤ちゃんとして生まれたイエス様がどんな風に成長し、救い主としてのお働きをなさるのか とても楽しみですね。

イエス・キリストの誕生の動画

The Birth of Jesus: Luke 1-2

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※聖書箇所はすべて新改訳2017を使用しています。