12使徒の召命① イエス宣教を開始する
12使徒の召命① 網を洗う漁師たち
ルカの福音書 5章 1〜2節
さて、群衆が神のことばを聞こうとしてイエスに押し迫って来たとき、イエスはゲネサレ湖の岸辺に立って、岸辺に小舟が二艘あるのをご覧になった。漁師たちは舟から降りて網を洗っていた。
12使徒の召命① ペテロの船から語られるイエス
ルカの福音書 5章3節
イエスはそのうちの一つ、※シモンの舟に乗り、陸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして腰を下ろし、舟から群衆を教え始められた。
※シモンはペテロのことです。
『奇跡の漁』
ペトルス・ノルベルトゥス・ヴァン・レイシュー
Petrus Norbertus van Reysschoot
1780年頃
朝もやの美しい空と海が輝き、画面の半分以上がこの淡い黄色のグラデーションで覆われています。早朝の光の中で、漁をする漁師たち。手前の船の中央にイエスの姿が見えます。これから起こる出来事への期待が高まります。
12使徒の召命① ペテロイエスの指示に従う
ルカの福音書 5章 4〜7節
話が終わると※シモンに言われた。「深みに漕ぎ出し、網を下ろして魚を捕りなさい。」
すると、シモンが答えた。「先生。私たちは夜通し働きましたが、何一つ捕れませんでした。でも、おことばですので、網を下ろしてみましょう。」
そして、そのとおりにすると、おびただしい数の魚が入り、網が破れそうになった。
そこで別の舟にいた仲間の者たちに、助けに来てくれるよう合図した。彼らがやって来て、魚を二艘の舟いっぱいに引き上げたところ、両方とも沈みそうになった。
ラファエロの作品
『奇跡の漁』
ラファエロRaffaello
ビクトリア・アンドアルバート博物館(ロンドン)
1515年
システィーナ礼拝堂での特別な儀式のときに飾られるタペストリーの下絵の一つです。弟子たちは漁に関しては長年の知識と経験から、いつ頃、どの辺に魚がいるのかよく知っていたはずです。そのようなベテランである自分たちが、一晩中漁をしても一匹も獲れなかったので「漁師の経験上、こんな時間に沖に漕ぎ出しても魚は獲れませんよ」と言うこともできたでしょう。しかし、イエスが仰る通りに網をおろすと、大漁になりました。イエスの神性に驚き跪くペテロ、後ろの人物はペテロとよく顔が似ているので、弟のアンデレ、その後ろはヤコブとヨハネでしょう。
『奇跡の漁(タペストリー)』
ラファエロRaffaello
バチカン美術館
1519年頃
上のラファエロの図案から完成したタペストリー。
バッサーノの作品
『奇跡の漁』
バッサーノBassano
国立美術館(ワシントンDC)
1545年
ラファエロの作品と構図がよく似ているので、大先輩の作品を参考にして描いたと思われます。中央の人物のマントが画面に動きを与え、海上の風の強さと生き生きとした印象とイエスへの強い情熱が感じられます。
アンリピエールの作品
『奇跡の漁』
アンリピエール
Picou Henri Pierre
ナント美術館
1850年代
朝の空気を感じる静かな湖に、すっと立つイエスの姿が美しいです。空のブルーとそれを映し出す湖面の青の透明感が、この作品の静謐な印象を際立たせています。ペテロの後ろの二人はヨハネとヤコブでしょう。
12使徒の召命① 人間を捕る漁師
ルカの福音書 5章 8〜10節
これを見たシモン・ペテロは、イエスの足もとにひれ伏して言った。「主よ、私から離れてください。私は罪深い人間ですから。」
彼も、一緒にいた者たちもみな、自分たちが捕った魚のことで驚いたのであった。
シモンの仲間の、ゼベダイの子ヤコブやヨハネも同じであった。
イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間を捕るようになるのです。」
ティソの作品
『奇跡の漁』
ティソJames Tissot
ブルックリン美術館
1886-1894年
少し上から見下ろすような構図のため、船の中が魚でいっぱいの様子がよくわかります。イエスの前にひれ伏すペテロの姿勢から奇跡を目の当たりにして、驚き恐れる心の様子が伝わってくるようです。
12使徒の召命① イエスと共に生きる人生を選ぶ
ルカの福音書 5章11節
彼らは舟を陸に着けると、すべてを捨ててイエスに従った。
ガスパル・デ・クレイヤの作品
『奇跡の漁』
ガスパル・デ・クレイヤ
Gaspar de Crayer
1630-1635年頃
パレ・デ・ボザール(リール)
船の帆から、イエス弟子たち、そして大量の魚へと逆のS字を描くように画面の端から端まで視線が流れます。弟子たちの足元には、色々な種類の、大きな海の生き物がどっさり。。。青い空と、風にたなびく帆やイエスの様子から磯の香りが感じ取られます。
ヤン・ファン・オーリーの作品
『奇跡の漁』
ヤン・ファン・オーリー
Jan van Orley
聖サルヴァトール大聖堂
1716ー1730年
中心に描かれたイエスとペテロ以外は、色調が抑えられ、そこに目線が集中します。朝の港、漁師たちの様子が生き生きと描かれた魅力的な作品です。
ドメニコ・ギルランダイオの作品
『使徒の召命』
ドメニコ・ギルランダイオ
システィーナ礼拝堂(ヴァチカン)
1481-1482年
Ghirlandaio_Domenico_-_Calling_of_the_Apostles
ペテロ、アンデレがイエスの弟子として召命されるところを、右側前景の人々(当時のフィレンツェで、責任ある仕事をしていた人々 ー銀行家、貿易業者、科学者‥・-)が見守っている形で描かれています。
中央には、ペテロとアンデレと対話するイエスの姿。向かって左奥にはこの二人を呼び止めているところ。向かって右奥には、この二人を伴ってヤコブとヨハネに声をかけているところが描かれています。
12使徒の召命① まとめ
①イエスは悪魔の試みに打ち勝たれた後宣教を開始し、弟子たちを招きました。
②シモン(ペテロ)の船に乗り群衆に教えられた後、夜通し働いても魚が捕れなかった漁師たちに、指示する方法で魚を捕るよう伝えます。
③イエスの言うとおりに、網を下ろしてみると、船がいっぱいになるほど魚が捕れました。
④イエスの成されたことに驚き、イエスの弟子となる事を決めました。
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『奇跡の漁』というタイトルの作品は、こちらにも沢山紹介しています。
12使徒の召命① 動画 Ⅰ
12使徒の召命① 動画 Ⅱ
画像出典:Wikimedia Commons
※聖書箇所はすべて新改訳2017を使用しています。
『12弟子の召命 ①』として、漁師であったペテロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネを召すところを聖書個所から見ていきましょう。