マグダラのマリアとは?復活のイエスに最初に出会った女性ー聖書と絵画ー


フランシスコ・ゲレーロ(16世紀)マリア・マグダレーナと共にどうぞ。

マグダラのマリアとは

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ガブリエル
今日は、マグダラのマリアについての作品とその人物像を聖書の中から見て行きます。
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アンジェ
ガブリエルさん、マグダラのマリアさんはどんな女性だったの?
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ガブリエル
マグダラのマリアは、7つの悪霊をイエス・キリストに追い出していただき、その後弟子となりました。純粋で敬虔な人柄で生涯を通して神に仕えたと言われています。今日は最初に、復活のイエス・キリストマグダラのマリアがお墓で出会う場面の絵画を見て行きましょう。

マグダラのマリアとは:復活のイエスと出会う

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『私に触れないでください』フラ・アンジェリコFra’ Angelico    1437-1440年頃 サン・マルコ美術館(フィレンツェ)

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ガブリエル
キリストに出会ったマリアの驚きと感動が伝わってくるようです。跪いて両手を広げる様子は静かでありながら感動的に表現されています。キリストの手足には十字架の傷跡があり、優しさと威厳のある表情でマリアと会話をしています。最初マリアがキリストを園の管理人と間違えたことから、鍬が描かれているところが興味深いですね。
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アンジェ
フラ・アンジェリコさんのお描きになるイエス様は、本当に素敵ですね。
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アンジェリコ
キリストに関する絵画を描く者として、絵筆をとるときにはいつもお祈りしてから描き始め、常にキリストとともに時を過ごすようにしています。
そのように描いていると心が動かされて涙が流れてくるのですよ。。。。
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アンジェ
わ!!!フラ・アンジェリコさん、お会いできて光栄です♪
「アンジェ」という名前は「フラ・アンジェリコ」さんの名前から付けられたと聞いています。
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アンジェリコ
それは、それは。アンジェちゃん、私も会えてうれしいよ一緒にこのシーンの聖書箇所を見て行きましょう。

ヨハネによる福音書20章11~17節 (新改訳2017)
マリヤは墓の外にたたずんで泣いていた。そして、泣きながら、からだをかがめて墓の中をのぞき込んだ。すると、白い衣を着た二人の御使いが、イエスのからだが置かれていた場所に、一人は頭のところに、一人は足のところに、座っているのが見えた。彼はマリアに言った。
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天使
女の方、なぜ泣いているのですか。
彼女は言った。
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マリア
だれかが私の主を取って行きました。どこに主を置いたのか、私には分かりません。
彼女はこう言ってから、うしろを振り向いた。そして、イエスが立っておられるのを見たが、それがイエスであることが分からなかった。イエスは彼女に言われた。
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イエス
なぜ泣いているのですか。だれを捜しているのですか
彼女は、彼が園の管理人だと思って言った。
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マリア
あなたがあの方を運び去ったのでしたら、どこに置いたのか教えてください。私が引き取ります。
イエスは彼女に言われた。
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イエス
 マリヤ
彼女は振り向いて、
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マリア
 ラボニ
すなわち、「先生」とイエスに言った。
イエスは彼女に言われた。
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イエス
わたしにすがりついていてはいけません。わたしはまだ父のもとに上っていないのです。
わたしの兄弟たちのところに行って、
『わたしは、わたしの父であり、あなたがたの父である方、わたしの神であり、
あなたがたの神である方のもとに上る。』と伝えなさい。
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アンジェリコ
後輩たちも同じ題名『Noli me tangere(私に触れないでください)』で素敵な作品を残しています。時代と共に変化していく表現をお楽しみください。

マグダラのマリアとは:フラ・バルトロメオの作品

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『私に触れないでください』フラ・バルトロメオFra bartolomeo 
1506年頃 ルーブル美術館(パリ)
美しい自然の中に描かれた、イエス・キリストとマグダラのマリア。この時代はまだ光輪が描かれている。左側にイエスの復活と眠る兵士たちが描かれ、時間の流れが盛り込まれている。
右側小さく3人の人物が見える。墓に向かう女性達だろうか。あるいはエマオの途上での出来事を描いているのだろうか。

マグダラのマリアとは:コレッジョの作品

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『私に触れないでください』コレッジョCorreggio 1525年頃 プラド美術館(マドリード)
キリスト、マグダラのマリアの身体の動きが共鳴し合い、対角線上に流れるように配置されている。キリストと気が付き、驚いて見上げるマリアの喜びと驚きが指の先まで感じ取られる。
キリストの威厳に満ちた表情、右手ではマリアに語りかけ、左手で天に指をむける仕草が神であり、人となられたことを表しているかのようだ。光輪は無くなり、キリストの上半身は肌が現れる形で描かれている。

マグダラのマリアとは
アレクサンドル・アンドレイェヴィチ・イワノフの作品

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『私に触れないでください』アレクサンドル・アンドレイェヴィチ・イワノフ
1858年 ロシア博物館(サンクトペテルブルク)
暗い背景にイエス・キリストとマグダラのマリアの白い肌が引き立ち、まるでスポットライトを当てた舞台の上のように劇的な空間ができあがっている。大工の息子として、地上の時を過ごされたキリストのイメージにふさわしく体格が良く、胸には槍で刺された跡も描かれている。マリアは、美しく無垢な印象の女性として表現される。

マグダラのマリア人物像

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ガブリエル
マグダラのマリアはヨハネの福音書 8章 3〜12節に登場する女性がマグダラのマリアであると解釈されたことから娼婦であったともいわれていますがハッキリと同一人物であったという記載はなく、章の流れから同じ人物であろうと理解されていたようです。そのため、香油を持ち髪は長くイエスの足元に描かれることが多いのです。作品を見て行きましょう

マグダラのマリアとは:ロヒール・ファン・デル・ウェイデンの作品

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『ブラック家の祭壇画』ロヒール・ファン・デル・ウェイデンRogier van der Weyden
(1450年頃) ルーブル美術館(パリ)
マリアの悲しみに満ちた表情や、装飾的な衣服、背景すべてが細部まで丁寧に表現されている。三連祭壇画の向かって右側の絵として描かれ、他の2つの作品と合わせて飾られる。左側の絵は洗礼者ヨハネ、中央の絵には聖母マリア、イエス・キリスト、ヨハネが描かれている。

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マグダラのマリアとは:ピエロ・ディ・コジモの作品

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『読書をするマグダラのマリア』ピエロ・ディ・コジモPiero di Cosimo1490年
聖書を読んでいるマグダラのマリアの姿が描かれている。香油の器が右側に置かれ、静かで、穏やかで、知的な印象の女性として表現されている。キリストに7つの悪霊を追い出していただいた後のマリアはこのような女性だったのかもしれない。

マグダラのマリアとは:決して闇の中を歩むことがない

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ガブリエル
それでは次にヨハネの福音書8章と作品を見て行きましょう
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『イエスと姦通の女』ギュスターヴ・ドレGustave Doré 1866年

ヨハネの福音書 8章 3〜12節 新改訳2017
律法学者とパリサイ人が、姦淫の場で捕らえられた女を連れて来て、真ん中に立たせ、イエスに言った。

「先生、この女は姦淫の現場で捕らえられましたモーセは律法の中で、こういう女を石打ちにするよう私たちに命じています。あなたは何と言われますか。

彼らはイエスを告発する理由を得ようと、イエスを試みてこう言ったのであった。だが、イエスは身をかがめて、指で地面に何か書いておられた。

しかし、彼らが問い続けるので、イエスは身を起こして言われた。
「あなたがたの中で罪のない者が、まずこの人に石を投げなさい。」そしてイエスは、再び身をかがめて、地面に何かを書き続けられた。

彼らはそれを聞くと、年長者たちから始まり、一人、また一人と去って行き、真ん中にいた女とともに、イエスだけが残された。

イエスは身を起こして、彼女に言われた。「女の人よ、彼らはどこにいますか。だれもあなたにさばきを下さなかったのですか。

彼女は言った。「はい、主よ。だれも。

イエスは言われた。「わたしもあなたにさばきを下さない。行きなさい。
これからは、決して罪を犯してはなりません。

イエスは再び人々に語られた。「わたしは世の光です。わたしに従う者は、決して闇の中を歩むことがなく、いのちの光を持ちます。

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アンジェ
イエス様の対応スゴイです。まさに神対応です✨

マグダラのマリアとは:ナルドの香油をぬる

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ガブリエル
マグダラのマリアとされる女性が、イエス・キリストに香油を塗ったことについての作品を見て行きましょう。ルカの福音書 7章 37〜50節からです。刺すような目で、香油を塗るマリアを見つめ怒りをあらわにする人々。ただ純粋にイエスの十字架と葬りの時を悟り香油を塗らずにはいられないマリア。ナルドの香油は当時労働者の一年分の給料に値しお嫁に行くときの持参金だったようです。それをすべて捧げ切ったマリアのキリストへの感謝と神への信仰が思われます。
blank『シモンの家での食事』フランス・フランケン・ザ・ヤンガー
Frans Francken the Younger(17世紀)

ルカの福音書 7章 37〜50節 新改訳2017
その町に一人の罪深い女がいて、イエスがパリサイ人の家で食卓に着いておられることを知り、香油の入った石膏の壺を持って来た。そしてうしろからイエスの足もとに近寄り、泣きながらイエスの足を涙でぬらし始め、髪の毛でぬぐい、その足に口づけして香油を塗った。

イエスを招いたパリサイ人はこれを見て、「この人がもし預言者だったら、自分にさわっている女がだれで、どんな女であるか知っているはずだ。この女は罪深いのだから」と心の中で思っていた。するとイエスは彼に向かって、「シモン、あなたに言いたいことがあります」と言われた。シモンは、「先生、お話しください」と言った。

ある金貸しから、二人の人が金を借りていた。一人は五百デナリ、もう一人は五十デナリ。彼らは返すことができなかったので、金貸しは二人とも借金を帳消しにしてやった。それでは、二人のうちのどちらが、金貸しをより多く愛するようになるでしょうか

シモンが「より多くを帳消しにしてもらったほうだと思います」と答えると、イエスは「あなたの判断は正しい」と言われた。それから彼女の方を向き、シモンに言われた。

「この人を見ましたか。わたしがあなたの家に入って来たとき、あなたは足を洗う水をくれなかっが、彼女は涙でわたしの足をぬらし、自分の髪の毛でぬぐってくれました

あなたは口づけしてくれなかったが、彼女は、わたしが入って来たときから、
わたしの足に口づけしてやめませんでした。

あなたはわたしの頭にオリーブ油を塗ってくれなかったが、彼女は、わたしの足に香油を塗ってくれました。ですから、わたしはあなたに言います。

この人は多くの罪を赦されています。彼女は多く愛したのですから。

赦されることの少ない者は、愛することも少ないのです」そして彼女に、
あなたの罪は赦されています」と言われた。

すると、ともに食卓に着いていた人たちは、自分たちの間で言い始めた。
罪を赦すことさえするこの人は、いったいだれなのか。」イエスは彼女に言われた。
あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい。

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アンジェ
イエス様を、沢山愛することが大切なんですね✨

マグダラのマリアとは:まとめ

①マグダラのマリアは、七つの悪霊をイエスから追い出していただいきました。
②敬虔な女性として、生涯を通して神様とイエス・キリストと一緒に生きました。
③画家たちによって多様な描かれ方があり、また歴史の中で解釈も深められました。